解熱剤の使い方

私は、茨城県のサンリツ薬局守谷店に勤務している薬剤師です。

こちらの薬局では耳鼻咽喉科、小児科の患者様が多く来局されます。

今回は当薬局にて風邪の薬として処方頻度が高く、ご質問も多い解熱剤について取りあげたいと思います。

解熱剤は文字通り、発熱している状態から体温を低下させることを目的とした対症療法の薬です。
発熱をもたらしている疾患の根本的な治療ではありません。

そもそも発熱とは、感染症など何らかの原因に対して、体温調整中枢の指令の下、生体が反応した結果です。
感染による発熱の場合は、体温を上げることにより免疫機能を高めて強力に対抗します。
発熱時の体温の高さや期間の持続は、疾患の種類による影響が大きく、
一概に体温が高いから重症で長期間ですとか、体温が低いから軽症で短期間、ということにはなりません。
また、発熱によって重い合併症を起こし後遺症を残すような直接の原因になることはなく、
上昇した体温そのものによって、直接的に生体がダメージを受けることはないと考えてよいでしょう。

解熱剤の必要性に関しては、医師による診察と総合的な判断によって考慮されます。
もし解熱剤を処方された場合は、保護者もしくはご家族の方が、
解熱剤の使い方についてしっかりと理解することが重要です。


一般的な解熱剤の目的とは、

(1)発熱の症状が軽減されて楽になる。
(2)水分や食事の摂取が進む。
(3)睡眠が確保できる。
(4)また、上記を確認することにより保護者やご家族に安心感をもたらす。

以上が医学的側面での最大メリットとされています。

つまり、発熱自体が悪い状態なのではなく、
発熱に伴う消耗や不快感などを解消してあげることが目的であります。
逆に、全身状態は良いのに発熱をむやみに下げてしまうと、
免疫機能が十分に発揮できず、症状が長引くことにもなります。
「38.5度超えたから使う」という、数字だけの基準では、適切な解熱剤の使用とはいえません。
数字ばかりにとらわれず、あくまで参考程度にし、その子の状態をよく観察してから解熱剤を使用するかどうか判断しましょう。

~~~こういうときに使うとGOOD!~~~
★発熱のために、水分や食事の摂取ができないとき。
★発熱のために、睡眠が確保できないとき。

また、
「解熱剤を使えば熱が下がるが、やがてまた上がってしまう」
「解熱剤を使ってもちょっとしか熱が下がらない」
というご相談を受けますが、
そもそもの解熱剤の目的を正しくご理解いただくと、その見方が変わってくると思います。

たとえば、
★熱が40度あったとしても、水分・食事摂取がとれて、睡眠も確保できるようなら解熱剤の使用は見送ってもよいでしょう。
★熱が38度弱でも、水分すらとろうとしなかったり、睡眠が十分取れないときには1度使ってみてもよいでしょう。
★熱はあるが本人はスヤスヤ眠っていられるようなら、無理に起こしてまで使用する必要はありません。

最後に、注意点も挙げておきます。
◆予防的に使い続けることはやめましょう。発熱自体が悪いことではありません。
◆体温の数字だけで判断せず、必ず今の症状や状態の把握を行いましょう。
◆解熱剤による十分な解熱が得られない場合もありますが、水分がとれて眠れるようなら様子をみましょう。
◆水分も取れない、ぐったりする状態が続くようなら受診しましょう。

いかがだったでしょうか?
今回は一般的な解熱剤の使い方についてご紹介させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

茨城県 30代 男性 薬剤師

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