『物の始まりが一ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島。』
啖呵売の口上にもあるように国生みの島として知られる淡路島。
美しい海と山に囲まれた、どこか哀愁漂わせる粋な町だ。
そんな町に関東から引っ越して来てはや3ヶ月。
人も空気も、人々の人情も最高だ。
だが、、、
そんな呑気なことばかり言ってられないのも現実。
独り身で関東暮らしに慣れきっていた俺にとっては超えなければならない壁が待ち受けていたのである。
自炊。
今までは徒歩圏内に飲食店が乱立していた環境で生きてきた俺にとって『自炊』というキーワードは無縁のものと思っていたが、自炊なしではこの町では生きていけない。
そう。
No 自炊 No Life
なのである。
と、いうわけで。
米を炊いた
まず自炊への第一関門は突破したと言ってよろしかろう。
我ながら、超絶グッジョブ。
しかし
何かが足りない
画像を見てお気づきかと思われるが、
茶碗は無いのだ。
が、茶碗が無いのは初めからわかっていたことで、想定の範囲内。
ご飯は納豆のトレーに盛ればいいのであり、洗い物もなくなりエコロジー。
N.P ノープロブレム。
足りないのはそれではない。
そう。
臨場感が足りないのだ。
食事に至るまでのプロセスというか、温かみというか、、
具体的にいうと
「おかえりっ!ご飯にする?それともお風呂にする?」的な要素が不足しているのである。
米を炊くまで周到な準備を重ねてきたつもりだったのだが、
こんな重要なことを忘れていた自分に嫌気がさす。独り身の辛いところではある。
何故俺は、疑似「おかえりっ!ご飯にする?それともお風呂にする?」アプリを用意しとかなかったのか、、
この空虚感。
一つのケアレスミスがせっかくの自炊を台無しにしてしまった。
気づけば、自分の頬には一筋の涙、、、、。
となりがちではあるが、
そこは老化によるドライアイの43歳。
涙は出ない。
でももっと哀しい瞬間に涙はとっておきたいの。(by Yuki Saito)
こんな感傷的な気持ちでは自炊はままならない。
明日から本気出す。
というわけで、セピア色の一献。
Ichiro’s Malt
埼玉県秩父市で作られているちょっとレアなウイスキー。
フルーティな甘みを持ちつつ、しっかりとしたボディ。創業者・肥土伊知郎氏のこだわりを感じさせる逸品。
と、気取ったことを言ってみたが
単純に旨い。
自炊うんぬん言ってみたところで、結局これに落ち着く。
さぁ、もうこんな時間だ。
明日の為にYシャツにアイロンかけて、
明日の俺に期待をかけて
淡路の星空に乾杯でもするとしようか。
淡路島 薬剤師
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