私は、表題の通り、リンカン(上・下)の評伝を毎年この時期一度読むようにしています。
評伝と伝記は似て非なるものです。評伝は史実に基づき実際の資料をもとに、人物評を加えたものです。対して、伝記は事実+創作が含まれます。よくある伝記などはある程度その人のことを脚色しているため事実ではないことも書かれていることがあります。(その人をよく見せようとしている)
本書については膨大な歴史的一次資料、二次資料をもとにまとめられた作品になっており、ライトにリンカンについて知りたい方には正直不向きと言えるほどの内容です。作者による創造が入る伝記よりも遥かにエンタメ性にかけ味気ない、つまらないと感じる方もいると思います。
ただ、私にとってはこの評伝という事実が醸し出す世界観がとても心地よく感じ、読んでいて没頭できます。
今でさえリンカーンという名前は知られているが、大統領候補戦当時は全くの無名で候補者の中でもダークホース的存在だったということは意外だった。
また、リンカンの政権で重要なポストを担っていた3人は、大統領候補を競ったいわばライバルの3人でもあります。憎み合っていた敵同士だったのです。この3人についてもたっぷりフィーチャーされており、歴史的背景を知るに十分であった。そういった意味でも本書はとても読み応えがあると思います。
自分を最大限に生かそうとする者は、私的な議論に費やす暇を持たない。ましてや癇癪を起こすことや自制心を失うことを含め、そうした言行の結果を引き受ける余裕はない。同等の権利を差し出すしかない場では大きなことは譲るが良い。あなた自身のものであることがはっきりしている小さいことについても譲りなさい。正しさを競い合って犬に噛まれるよりは、道を譲るほうが賢明だ。たとえ犬を殺しても、それによって噛まれた傷口が治癒することはない。
リンカン 南北戦争勃発 - ドリス・カーンズ・グッドウィン 平岡 緑 訳
この文章は私の中でとても大切にしている文章のひとつで、自分の中ではまだまだ出来ていなことのひとつとして受け入れています。
私は、主義主張の違う人を取りまとめて物事を進めることが苦手だと自覚しています。社長であるからには、時に自分と意見の違う人間と対義する必要があります。意見が違うからと排除することは簡単です。だが、それを繰り返していると会社は発展せず停滞の影が見え始めるのです。
みなさんは繰り返し読む本はありますか?
膨大な情報が溢れている世の中で、自分の指針となる本というものを持つことは自分の軸がぶれないためにも大切なことだと思っています。(本にこだわる必要はありませんが一例として)
そして、いろいろな考えに触れることで豊かな考え方が出来るようになります。何事も偏らず、様々な人の意見を受け入れ、自ら考えられるようになりましょう。