ブログをご覧の皆様こんにちは
花粉症のシーズンも落ち着いてきて、暖かくなってきましたね
今回は漢方薬についてお話しようと思います
漢方というと中国の伝統医学といった印象ですよね
確かに2000年以上前に中国で生まれた医学なのですが、中国漢方と日本漢方に系統が分かれているってご存知ですか
日本の漢方も元々は中国から伝来しているのですが、日本の漢方は歴史の中で独自に発達し、現在に至っています
まるで日本の携帯電話(ガラケー)みたいな話ですね・・・
そもそも「漢方」という言葉は、オランダから伝来した西洋医学の「蘭方(らんぽう)」に対して、それまでの日本の伝統医学を区別するために生まれた日本語です。
漢の国から伝来したので「漢方」と呼ばれるようになったわけです
そのため中国では漢方という言葉は使われず、
中国では「中国伝統医学」「中医学」、日本では「日本漢方」「和漢医薬学」などと呼ばれ区別されています。
なぜ日本独自の漢方が発展していったのか調べてみました
中国漢方の起源は紀元前1300年以上前です。
それが日本に伝来したのは5~6世紀頃。その後、遣隋使や遣唐使から多くの医学書がもたらされました。そして984年に日本最古の医学書、「医心方」が作られるときに、中国のさまざまな医学書から引用されて構成されました。この時に日本の風土に合う内容に編集されたといわれています。
また、江戸時代に生薬の大半が輸入品で貴重だったため、限られた生薬をできるだけ多くの症状に使えるようにしたことも日本独自の漢方が発展し確立していった要因と考えられています。
漢方薬は一般的に複数の生薬(生薬:薬効のある植物や鉱物、貝殻などのこと)から構成されています。生薬のエキスを抽出し、顆粒や粉末状などに加工した「エキス剤」と、煮出してつくる「煎じ薬」があります。
中国漢方と日本漢方の違いは、
中国漢方では患者に合わせて生薬を加減するのに対して、日本漢方は患者の症状に合う漢方を探すことです
これを鍵穴と鍵に例えると、
日本漢方は鍵穴に合う既製の鍵を探し出す。
中国漢方では鍵穴の形状を調べ、それに合った鍵を作るといった感じでしょうか
そのため、中国では患者の体質や状態に合わせて組み合わせや分量を調節できる煎じ薬が、日本漢方では既存のエキス剤が主流になっています。
例えば、寒気がして首筋が凝り、汗をかいていない。
こういった風邪の初期症状のときは、日本漢方では葛根湯が処方されます
これに対して中国漢方の場合は
陰陽:病態が沈静的か活動的か
表裏:発症している場所が体表部か体の深奥部か
寒熱:寒気を伴う状態か、熱を伴う状態か
虚実:栄養状態、人体の抵抗力が不足の状態か、過剰の状態か
などの診断により、症状が同じでもその人の体質、そのときの体の状態で処方が違ってきます
同じ漢方の処方でも、考え方が違うんですね。
まだまだ細かく調べていくと違いはたくさんありますが、これを機にもっと漢方について勉強していこうと思いました
中部30代薬剤師 男性