唐突ですが、あなたは巷で噂されている『小さいおじさん』の存在を信じますか
私はもちろん信じていませんでした
あの日までは、、、
一昨年のこの時期の話になります
中部で店舗改装の手伝いの仕事があり、私も参加しました
当日は大型台風の接近で、翌日業務に支障がでないよう早々に仕事も切り上げになり、
翌日休みを取って登山を計画していた私はその足で、山の麓の宿を探し始めました
ところが、いざ宿を探し始めると、ちょうどレスリングの国体の時期と重なっていたようで、どこの宿も満室状態
夜も21時を過ぎいよいよ車で野宿するかと諦め半分運転をしていると、
突然首筋に誰かに殴られた様な激痛が、、、
私は路肩に車を止め、痛みに驚いた心を落ち着け、ふと横に目をやると、そこには個人宅を改築して経営している宿がありました
駄目もとで聞いてみるか。と家の中に入り主人を呼ぶと、ちょうどあと1部屋空きがあるとのこと
私はようやく落ち着けると思いその宿に宿泊することにしました
部屋は6畳のフローリングにベッド、テレビ、そして風呂がついているビジネスホテルのような造りで、
電気だけが異様に薄暗く、お世辞にも気持ちの良い宿とは言えませんでしたが、
翌日4時起床で山を目指す私にとっては一刻も早く休もうという気持ちで一杯でした
お風呂で軽く疲れを落とし、体を拭きながらベッドに向かう短い間に私は違和感に気付きました
点けていなかったはずのテレビが点いていたのです
ただ、細かいことは気にしない私は、そういうこともあるよね、、とそのままテレビを観ていました
すると今度はあからさまに、部屋の隅で動いている”緑色”が視界に入ってきました
部屋の薄暗さに対してあまりにも鮮やかなその緑は自ら光を放っているようにも見えました
不思議と畏怖よりも好奇心に駆られその”緑色”に近づき、
初めてそれが人の形をしていると確認できた瞬間、
バッとこちらを振り向き、
えっと言わんばかりの驚いた眼でこちらを見たかと思うと、
一瞬ニヤッと笑いテレビの裏にととととっ…
と走りこんでいなくなってしまいました。。。
時間にして数秒の出来事で驚きはしたものの、そこはやはり細かいことを気にしない私は、そういうこともあるよね、、、
とそのまま床につきました
翌日、大型で遅い台風のという事もあって空はまだどんよりしていましたが、
私は予定通りに起床し山を登りました
往復8時間の道中、いくら平日とはいえ1度も人とすれ違わなかったのは登山人生で初めての事でした
もうすぐ終点の登山口というところまで戻って来て、
今回は変わった旅になったなと感じながら昨日の緑のおじさんの事をふと思い出していると、
10m程手前に突如野生の猿が現れました
今日初めての訪問者のようで嬉しい気持ちになり、
逃げた猿を追い駆けて間も無く、私の後ろの道でドーンと大きな音がしました
台風で地盤が緩んでいたせいか、小規模ながらも6m程はあるであろう林道を塞いでしまうような土砂崩れが起きたのです
私は運良くそれを交わした格好になりました
まさか…あの緑のおじさんが助けてくれたのでは
等と根拠もない事を感じながらその日は無事帰路につきました
その翌日、今回の旅であった事を誰かに話そう等という気は毛頭ない私が、
出勤直後に職場の先輩に言われてハッとした言葉がありました
“…昨日、小人とか妖精に会いました?”
あまりのピンポイントさに言葉を失いましたが、すぐに何故かと聞き返しました
すると先輩はこう答えました
“髪の毛に糸が結んであるから”
鏡を見て驚きました
耳の上あたりの髪の毛に3カ所も白と赤の糸が髪の毛に固結びするように結んでありました
聞くところによると、この様な体験をしたことがある人がちらほらいるそうで、
妖精や自然霊の類、いい事が起きる前兆等と色々な噂があるのだそう
その後その糸は1ヶ月程ついたままでしたが、これといって良い事はなかったような、、、まあ、いいか
これが、細かいことは気にしない私の体験談です
ただ、私たちの知らないところ、気付かないところで、もしかしたらそれは見えてはいなくても、
誰かが見守ってくれていて時々手を差し伸べてくれている
そう考えると今までより少し心が豊かになる気がしませんか
あなたのその頑張り、きっとおじさんは見てますよ
あなたは何色のおじさん?、、、さあ今日も頑張っていきましょう
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