「喘息死ゼロ」を目指して

私は岐阜県の東濃地区に住んでいます。
「喘息死ゼロ」を目指して吸入指導に力を入れている地域です。
勉強会が定期的に開催され、ピットホールという患者さんが間違えやすい操作を重点的に解説されます。
今回はそこであげられた代表的な吸入器のピットホールについて紹介します

吸入器(デバイス)にも色々と種類がありますが、大きく分けてドライパウダー型エアゾール型に分けられます。
簡単に言うと薬剤が状」状」の違いで、吸入の仕方が異なります

・ドライパウダー型力強く吸い込む吸い込み過ぎには注意
⇒自分の力で薬剤を吸い込むので早く深く吸い込む必要があります。

・エアゾール型深呼吸するような感じ(ゆっくりと深く吸入する)

(全てのデバイスに共通の注意
カバーを外してから吸入しないといけません。
⇒意外にカバーをつけたまま吸入してしまうケースがあり、特にタービュヘイラーのデバイスで多いようです。

(ドライパウダー型の共通の注意
デバイスを水平にしないといけません
上を向いて吸入すると、薬剤がこぼれてしまう可能性がある。
下を向いて吸入するのは、下から吸いあげる必要がでてくるので、吸い込む力が必要以上に大きくなる。

・薬が舞ってしまうので、吸入口に息を吹きかけないように注意が必要です
⇒小児などでは横を向かせて息を吐き出させ、それから吸入させると上手くいきます

<ドライパウダー型>
  ディスクヘラー         ディスカス          タービュヘイラー      ツイストへラー
ドライパウダー型

<エアゾール型>
20110627エアー など(写真は代表的なものを抜粋しています)

(デバイスごとのピットホール
・ディスクヘラー
操作が一番複雑で、薬のセットが難しい。
吸い残しが一番起こりやすい。⇒うまく吸えなかったときは2,3度に分けて吸うといいです

・ディスカス
カウンターの文字が小さい
レバーを無理やり戻そうとする⇒カバーを戻せば、レバーも元に戻ります

・タービュヘイラー
薬をセットする操作中に「カチッ」という音が聞こえないといけないので、耳の悪い方にとっては不向き。
下のグリップ部を回すはずが、上の方を回してしまう
⇒回す方向が逆になってしまいます。上の部分は固定させて、下のグリップ部を回すようにしましょう。(無理やり逆に回そうとすると、吸入器が壊れてしまいます
空気の通り道があるので、吸入器を握りこまないように注意。

・エアゾール型
指の力が弱く、うまく噴霧させられない(特に高齢者)
などなど。

「しっかり吸入ができている」と答えた患者さんでも、カバーをつけたまま吸入していたり、
意外に吸入操作が間違っているケースもあるようです。
他にもデバイスはありますが、今回は気になった点を簡単に紹介しました。

吸入操作で疑問などあればウィーズの薬局までお気軽に相談ください

中部薬剤師

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高血圧と多剤併用について・・・後編

昨日に引き続き降圧剤のあれこれです。

気になる昨日のクイズの答えの発表です。

【1の答え】

今服用中の薬を2倍に増やしても降圧効果は、今までの約1.2倍から1.3倍(約12~13mmHgの低下)くらいしか期待できないことがあります。

【2の答え】

1種類1錠だった時より、2種1/2錠ずつ服用する方が約1.6倍(約16mmHgの低下)の降圧効果が期待できる組み合わせがあります。

<多剤併用すれば少量の薬でも効果的!!>

驚くことに高血圧治療薬は服用量を1/2にしても、降圧効果は約80%残ることが知られています。

ということは、服用量を1/4にしても降圧効果は約60%が残ると計算できるし、逆に服用量を2倍にしたって約120%~130%くらいまでしか降圧効果は期待できないということです。

そしてクイズ2のケースでは1.6倍に効果が上がることが期待されていますが、これは作用のしかたが違う薬を組み合わせて服用しているからです。
違う作用の高血圧治療薬を組み合わせた場合、その効果は足し算で合計したようになることが知られています。

クイズ2のケースでは、2種類の薬をそれぞれ半分にしているので、それぞれの効果は80%ずつになりました。しかし合計すれば80%+80%=160%というわけで、約1.6倍の効果が期待できるのです
さて、ここまでの解説で、少量であっても複数の高血圧治療薬を組み合わせることが、より効率的に血圧を下げることをご理解していただけたかと思います

<気になる副作用は・・・?>

複数の薬を服用する上で一つ心配なことがありますね?いくつも薬を組み合わせると、副作用の危険性が増すのではないかとお考えの方がいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし薬の種類が増えたからといって、むやみに副作用を心配することはありません。
一般的には多剤を少量ずつ組み合わせて血圧をコントロールした方が、1種類の薬を多量服用したときより副作用のリスクは低下すると言われています。

異なる種類の高血圧の薬たちは、血圧を下げる効果については共通していますのでお互い協力して血圧を下げます。
しかし副作用に注目すれば、それぞれ別の副作用を有しているケースが多く、薬たちは副作用をお互い強くするように協力しあうことはあまりないようです。

*明らかに相性の悪いものは薬剤師がチェックして医師に問い合わせたり、特に服用後注意をしてもらうようお話します*

それどころかうまい具合に副作用のリスクを軽減する高血圧治療薬の組み合わせもあります

Ca拮抗薬という種類の薬は、血圧を下げる効果は高いのですが、心臓をドキドキさせる反射性頻脈という副作用が起きることがあります。

心臓に病気があるなど心臓に負荷をかけたくない患者様にとっては困った副作用です。

一方でβ遮断薬という種類の高血圧治療薬は心臓の働きを抑えることで血圧を下げる薬です。

組み合わせれば反射性頻脈が起きるリスクは減ります。これを目的に2種が一緒に処方されることがしばしばあるようです。

<薬の服用は指示を守りましょう!>

今回ブログに書いたことは、あくまで一般的に知られていることを示したものであり、クイズの内容もフィクションであり、実際にすべての患者様にあてはまるものではないのでご注意ください。

多剤併用が効果的であるといっても、1種の薬で血圧がコントロールできている患者様には必要ないことだってあるでしょう。
それに、それぞれの高血圧治療薬には使ってはいけない禁忌のケースや、逆に積極的に服用した方がいいケースがあるようです。こういったことを医師に見極めてもらい薬が選択されます。

また、クイズ1のように服用している薬を2倍に増やすような処方変更は受診の際にはよくあります。
きちんと安全かつ有効とされている薬の用量の範囲内であれば、薬を増量することは有効な手段だと考えられています。
ですから間違っても増量した薬に対し効果の出にくさや副作用起こりやすさなどを思い込んで自己判断で減量などしないようにしましょう。

薬の効果や副作用には個人差があり、診察してもらった上で個々に適した治療を受けていただく必要があります。

<最後に合剤について少し・・・>

ところで現在、高血圧治療に多剤併用が常識になってきて、2種類の薬が1つにまとまった合剤というのが販売されています。
2個の錠剤が一つにまとまっているので服用する上で便利になりますし、少し薬代が安くなるので経済的にもメリットがあります。
もしかしたら、あなたの服用している高血圧の薬の中にも合剤として販売している組み合わせのものがあるかもしれませんね。
興味がある方は当社の薬局でお気軽にお尋ね下さい
ただし薬を処方するのは医師なので、薬局で勝手に合剤に変更することは出来ません。予め、ご了承ください。

湘南店 薬剤師

参考文献
http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/view/articles/d_00181.html

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“高血圧と多剤併用について・・・後編” の続きを読む

タイトル:なんで?どうして?高血圧治療における多剤併用!

こんにちは。私は湘南店に勤める薬剤師です。

湘南店は茅ケ崎にあるんですが、広くてとっても居心地いい店舗ですよー

機会があったら是非来てみてくださいね

さて今回は、私の6年間の薬剤師経験のなかでよく患者様から質問されたことの一つをピックアップし、それをテーマにお薬のことをお伝えしたいと思います。

さあ、早速テーマですがタイトルにもある通り、ズバリ

高血圧治療の多剤併用(2種類以上、血圧の薬を服用すること)についてです。

この仕事をしていると、とってもたくさんの人が高血圧の治療薬を服用されていることがわかります。

そして、多くの患者様は何種類か高血圧の薬を組み合わせて治療されています。

そんなある日、患者様からの質問がありました

「血圧の薬を一つ服用しているのに、さらにもう一つ血圧の薬を増やすなんてどうなっているの?」

この質問を受けた時、患者様のいろいろな思いを読み取ることができました。


(今の薬それなりに効いていたんだから、血圧が高いならこの薬を増やせばいいのに!)

(副作用とか心配だし、何種類も薬飲みたくない!)

(いくつも薬を飲むのって面倒くさいし、忘れちゃいそう!)

(薬代が高くなったじゃんか!)

そうですよね。薬が増えてしまい、マイナスに考えてしまうお気持ち、よくわかります。

しかし、今回のブログで意外な高血圧治療薬の真実をお伝えしちゃいます。

さあ、突然ですがここでクイズです!!

直感で思ったままに答えてみてください!

【クイズ1】

ある患者M様は医師S先生から処方されている1種類の高血圧治療薬を1日1錠服用したところ、収縮期血圧が平均で10mmHg下がりました。
しかし、もっと血圧を下げたいと思ったM様は自己判断で1日2錠服用してみることにしました。
さあ、どのくらい血圧が下がることが期待できるでしょうかー?
(※高血圧治療薬の自己判断での服用量変更は絶対ダメです。やめましょう!)

なんだかわかるような気がしますよねっ!単純に薬が2倍になっているわけだから、下がる血圧だって・・・。


【クイズ2】

先ほどの患者M様は定期診察を受けたところ、医師S先生から自己判断で薬を増やしたことについてこっぴどく叱られました。
そして、血圧の下がり方が不十分なことを指摘され、処方内容を変えると説明を受けました。
今まで服用していた薬を1/2錠にして、もう一つ別の種類の高血圧治療薬を1/2錠追加する処方です。
ただし、追加する薬は現在服用中のものと別のタイプの高血圧治療薬、1錠服用すれば現在服用している薬と同じく平均して10mmHg収縮期血圧が下がることがわかっています。

さて、M様の収縮期血圧はどのくらい下がることが期待できるでしょうか?

この問題もなんだか簡単そうですね!どちらの薬も1錠で10mmHg血圧が下がるんだから、その2種類を半分ずつ服用したところで結局下がる血圧は・・・。

どうでしょうか
明日に続きます・・・

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ニューコンテンツ!

こんにちは、今週からウィーズのブログ月曜日は頑張ってマジメなお薬の話をすることになりました。

もしかしたら一般常識!?逆に薬学関連の人じゃないと分かりづらいという内容もあろうかとは思いますが

薬をポンとお渡しするまでにも色々な注意や勉強をしているんだな、と感じていただければ幸いです。

今日はたまたま先日おやと思った事があったのでご紹介したいと思います。

親御さんや小児科で働くと聞きなれていると思いますが「溶連菌」という菌をご存知でしょうか。

僕も新人のころ耳慣れないそのような菌が一般的にお子さん方がかかるものだとは思っていませんでした。

症状は風邪のような症状から、発疹や高熱、舌の異常などが見られる病気です。

しっかり治療をしないと腎臓に悪さをしたりするので特にお薬を飲みきるようにお話をします。

検査ですぐ分かるので治療もすぐに行われるのですが一般的にはセフェム、ペニシリン系の薬(フロモックス、トミロン、ワイドシリン等)を10日くらい飲むことが一般的で、2回に分けて処方されることも多いようです。

ある日5日フロモックスを飲まれたお子さんにジスロマックが処方されました。

初回にお聞きしたときは溶連菌で5日後に来るとお聞きしていたので今回も続きだろうということは確実でしたがジスロマックが溶連菌に処方されるのは実は初めての経験でした。

もちろんこれは有効で、添付文書にもレンサ球菌に適応がありますし(溶連菌はレンサ球菌なんですね)一般的な治療法として確立されています。

それでも今までそのような例に出くわすことがなかったのはマクロライド系耐性菌や続発症に対するエビデンスの問題からのようです。 日本小児呼吸器疾患学会と日本小児感染症学会により作成された「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2007」でも治療の推奨度はペニシリンアレルギーがある場合など、とされています。*フロモックス5日のみきりでもいいようですが・・・

最初の5日間で咳がひどくなってしまったのであえてジスロマックを選ばれたのでしょう、ふむふむ。またひとつ勉強になりました・・・

中部薬剤師
本文中に挙げた薬名は筆者が実際に調剤したものを抜粋したもので世の中には同成分で多くの製品があります。また、触れた治療法は代表的なものですので病状によって異なる処方をされる場合がありますのでご留意ください。

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