♪ちぃさいあーき ちぃさいあーき ちぃさいあーき みぃつけた
って歌い始めると先が苦しくなるので気をつけて!(正しくは、「♪誰かさんが 見つけた」です。)
意味なく歌から入る、ハイテンション難病オジサン薬剤師です。
秋とは全く関係のない薀蓄を傾けながら、国家試験の勉強の仕方のアドバイスになりそうな話(別名オジサンの説教がましい話)をしたいと思います。
テーマの始点は【「投薬」について】
患者さんにお薬をお渡しする行為のことですが、「薬を投げるだなんて、乱暴な!」とおっしゃる方も多いこの言葉。実は以外と奥が深い言葉なんです。😌
まず、グーグル先生に「投薬 語源」と伺ってみると、「涅槃図」に起源があるらしい との返答が帰ってきます。(念のため書いておくと、Googleで「投薬 語源」で検索したら、涅槃図に関係するサイトが沢山ヒットするという意味です。(要らないか…😅))
涅槃図とは、お釈迦様の入滅(お亡くなりになる)シーンを描いたものの仏教画です。仏教絵師なら誰もが描くような仏教における重要なシーンの一つだけに、涅槃図にはさまざまなバージョンがあります。
涅槃図のクリティカルパス…じゃなくて必須アイテム、は
(1) お釈迦様(当たり前?):頭を北、顔を西、右脇を下にした側臥位(=横臥位。横に寝る体位のこと)
(2) (1)の周りを取り囲む8本の沙羅双樹:四枯四栄
⇒肉体は滅ぶが(右4本が白く枯れている)、教えは残って栄える(左4本は青く茂って花をつけている)(ちなみに、アイキャッチのお花は沙羅双樹の花(だと思います)です)
⇒植物までお釈迦様の死を悲しんで4本枯れているとの説もあり
(3) 満月:お釈迦様の入滅が2/15=十五夜の満月
(4) 嘆く人々(主に弟子)
(5) 嘆く動物
(6) 雲に乗って飛んでくる人々:お釈迦様を産んでからすぐに亡くなってしまった、摩耶夫人(まやぶにん)が含まれています。
要するに、お釈迦様がお亡くなりになりそうなので、弟子や動物だけでなく、天上のお母さんまで駆けつけてきて何とかしようとしたり、嘆いていたりするシーンが涅槃図です。
多くの涅槃図には、お釈迦様の枕元の沙羅双樹の木の枝に赤い袋が錫杖とともに引っかかって描かれています。これも諸説あるのですが、「死に瀕したお釈迦様のために摩耶夫人が天上から駆けつけて命を救える霊薬を投じたけど、木に引っかかってしまって届かなかったので亡くなった」⇒このエピソードが「投薬」の語源となったとするのが有力な説のようです。
「投薬」という言葉には、
・死してなお、子供のためにいち早く薬を届けようとする母の強い想い
が込められているんですね。😭
ですから「投薬」の時は、患者様の健康を想うのはもちろんですが、
・この語源の通りに「患者さんにいち早く薬を届けよう」とスピードを重視するか、
・投げたから届かなかったんだから「患者さんに確実に薬を届けよう」と正確性を重視するか、
悩ましいところですね。薬局の業務では相反する両方が求められますから、大切なのはバランスなんだと思います。😀
と、ここで終わっても良いのですが、ほかのサイトと同じになってしまうんで…じゃなくて、調べているうちに色々と気になる事や周辺知識が出てきましたので、あえて脱線してみましょう。😀
例えば、
【疑問】お釈迦様の寝ている向きは、医学的にはどうなんだろうか?
まず、頭を北にして寝る=北枕について。
お釈迦様の入滅にならい、亡くなった方は北枕に埋葬する習慣があります。亡くなった方と同じ寝方=北枕は縁起が悪いとされています。しかしながら、北側は部屋の中では温度が低くなりやすい方角であり、東洋医学では「頭寒足熱」が推奨されていますので、医学的には北枕は健康に良いのでは?と捉えることが出来ます。(エアコンのある現代でどれくらい意味があるか?は言及しないことにしましょう。😛)
頭が北で西を向く=右を下にして寝る(右側臥位)ですが、この姿勢だと心臓の負担が軽くなると言われており、実際に慢性心疾患を持つ方は左側臥位(左を下にして寝る)を避けて寝る傾向があるのだそうです。(ただし、逆食傾向のある方は右を下にして寝ると逆流が促進されて慢性的な胸やけが増加すると言われていますので、一概にどちらが正しいとは言えませんが。)
すると、瀕死の状態で心臓が今にも止まりそうなお釈迦さまが、北枕の右側臥位で寝ているのは合理的であると言えると言えましょう。😌
【周辺知識】 駆けつけた動物が干支の動物のルーツ?
現代の日本人にとって、干支といえば、子=ネズミ🐭 丑=ウシ🐮…. ですが、動物のイメージは後付で、本来は方角や日付の記録のためのいわゆる数字の一種のようなものだったようです。
で、涅槃図についていろんな資料を読んでいると、この涅槃図に描かれている動物が干支に割り振られた動物のルーツであるという説を沢山目にします。
どうやら、本当はウシ🐮が最初にお釈迦様の体調不良を聞きつけて、いろんな動物に声を掛けながらお釈迦様の元へ向かった。
ネズミ🐭は、最初にウシに声を掛けてもらい、ウシに乗せてもらったにもかかわらず、お釈迦様のところに到着した瞬間に飛び降りて、ちゃっかり一番の座をウシから奪い、干支の最初の動物になった。
その後の到着順で、子丑寅….となったという話になっているようです。(これも、所説あり)
<多くの涅槃図に猫🐱がかかれていない理由>
これにも諸説ありますが、どうやらお釈迦さまが入滅した頃には猫🐱がインドに居なかったので書きようがなかったというのが正解のようです。「ネズミはお釈迦様の遣いだから、ネコはそもそも呼ばれなかった」とか「ネコはネズミに騙されて別の日に来るように言われたので駆けつけられなかった」とか「お釈迦さまから『顔を洗って出直して来い』と言われたので、ネコはずっと顔を洗っている(様子をしている)」とかいったエピソードは後付の設定だったようです。
【まとめ】
だんだん収集がつかなくなってきました(苦笑)😅。 何が言いたいのかといえば、
- 参考書や教科書に書いてある言葉だけを鵜呑みにせずに、いろんな資料を読んでみましょう
- いろんな資料に書いてある「余計な部分」にも目を通し、気になるところはとことん追及しましょう
ということです。(自分で疑問に思って追及した知識は身につきやすいですし、多方面からアプローチしていると今まで分からなかったことが急にわかるようになることもあります。🤗)
国家試験や資格試験の設問は、自分が知ってる言葉のとおりに表現してくれるとは限りません。例えばパーキンソン病の症状に、「固縮」というのがありますが、
・筋固縮
・筋強剛
・筋肉のこわばり
などと表現することも可能です。1つの資料しか見ていないと、その資料に書いていない表現と触れ合う経験ができないので、応用がきかず正解に結びつかないかもしれません。
おそらく皆さんは、同じような範囲の問題が繰り返し出ることが分かっているので「過去問題」を中心に勉強していると思います。何故回答者が分かっているのに繰り返し同じ範囲から出題するのかといえば、この資格にとって大切な部分だからです。ただし、毎回同じ問題を出すわけにはいきませんので、
(大事なところ)+(その周辺のところ) = (新しい問題)
となる可能性は非常に高い訳です。
ぜひ「余計な部分」をたくさん読んで、知識の幅を広げて応用力を高めていきましょう!
40代 男性 難病薬剤師