高血圧と多剤併用について・・・後編

昨日に引き続き降圧剤のあれこれです。

気になる昨日のクイズの答えの発表です。

【1の答え】

今服用中の薬を2倍に増やしても降圧効果は、今までの約1.2倍から1.3倍(約12~13mmHgの低下)くらいしか期待できないことがあります。

【2の答え】

1種類1錠だった時より、2種1/2錠ずつ服用する方が約1.6倍(約16mmHgの低下)の降圧効果が期待できる組み合わせがあります。

<多剤併用すれば少量の薬でも効果的!!>

驚くことに高血圧治療薬は服用量を1/2にしても、降圧効果は約80%残ることが知られています。

ということは、服用量を1/4にしても降圧効果は約60%が残ると計算できるし、逆に服用量を2倍にしたって約120%~130%くらいまでしか降圧効果は期待できないということです。

そしてクイズ2のケースでは1.6倍に効果が上がることが期待されていますが、これは作用のしかたが違う薬を組み合わせて服用しているからです。
違う作用の高血圧治療薬を組み合わせた場合、その効果は足し算で合計したようになることが知られています。

クイズ2のケースでは、2種類の薬をそれぞれ半分にしているので、それぞれの効果は80%ずつになりました。しかし合計すれば80%+80%=160%というわけで、約1.6倍の効果が期待できるのです
さて、ここまでの解説で、少量であっても複数の高血圧治療薬を組み合わせることが、より効率的に血圧を下げることをご理解していただけたかと思います

<気になる副作用は・・・?>

複数の薬を服用する上で一つ心配なことがありますね?いくつも薬を組み合わせると、副作用の危険性が増すのではないかとお考えの方がいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし薬の種類が増えたからといって、むやみに副作用を心配することはありません。
一般的には多剤を少量ずつ組み合わせて血圧をコントロールした方が、1種類の薬を多量服用したときより副作用のリスクは低下すると言われています。

異なる種類の高血圧の薬たちは、血圧を下げる効果については共通していますのでお互い協力して血圧を下げます。
しかし副作用に注目すれば、それぞれ別の副作用を有しているケースが多く、薬たちは副作用をお互い強くするように協力しあうことはあまりないようです。

*明らかに相性の悪いものは薬剤師がチェックして医師に問い合わせたり、特に服用後注意をしてもらうようお話します*

それどころかうまい具合に副作用のリスクを軽減する高血圧治療薬の組み合わせもあります

Ca拮抗薬という種類の薬は、血圧を下げる効果は高いのですが、心臓をドキドキさせる反射性頻脈という副作用が起きることがあります。

心臓に病気があるなど心臓に負荷をかけたくない患者様にとっては困った副作用です。

一方でβ遮断薬という種類の高血圧治療薬は心臓の働きを抑えることで血圧を下げる薬です。

組み合わせれば反射性頻脈が起きるリスクは減ります。これを目的に2種が一緒に処方されることがしばしばあるようです。

<薬の服用は指示を守りましょう!>

今回ブログに書いたことは、あくまで一般的に知られていることを示したものであり、クイズの内容もフィクションであり、実際にすべての患者様にあてはまるものではないのでご注意ください。

多剤併用が効果的であるといっても、1種の薬で血圧がコントロールできている患者様には必要ないことだってあるでしょう。
それに、それぞれの高血圧治療薬には使ってはいけない禁忌のケースや、逆に積極的に服用した方がいいケースがあるようです。こういったことを医師に見極めてもらい薬が選択されます。

また、クイズ1のように服用している薬を2倍に増やすような処方変更は受診の際にはよくあります。
きちんと安全かつ有効とされている薬の用量の範囲内であれば、薬を増量することは有効な手段だと考えられています。
ですから間違っても増量した薬に対し効果の出にくさや副作用起こりやすさなどを思い込んで自己判断で減量などしないようにしましょう。

薬の効果や副作用には個人差があり、診察してもらった上で個々に適した治療を受けていただく必要があります。

<最後に合剤について少し・・・>

ところで現在、高血圧治療に多剤併用が常識になってきて、2種類の薬が1つにまとまった合剤というのが販売されています。
2個の錠剤が一つにまとまっているので服用する上で便利になりますし、少し薬代が安くなるので経済的にもメリットがあります。
もしかしたら、あなたの服用している高血圧の薬の中にも合剤として販売している組み合わせのものがあるかもしれませんね。
興味がある方は当社の薬局でお気軽にお尋ね下さい
ただし薬を処方するのは医師なので、薬局で勝手に合剤に変更することは出来ません。予め、ご了承ください。

湘南店 薬剤師

参考文献
http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/view/articles/d_00181.html

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