店舗ローテーション研修のメリットは、複数の薬局を廻ることで多様な実務経験ができる点にあります。私の場合、まず群馬の店舗で、事務方としてシステム関連の業務や調剤の基本的な知識をひと通り学びました。本格的な薬剤師業務は２店舗目から。主に内科と精神科の処方箋を扱う店舗だったので、薬剤の品目数が多く、さまざまな薬の知識、OTC医薬品について覚えました。

３店舗目の鳥取の薬局では、調剤だけでなく、訪問薬剤師として在宅医療に携わる機会にも恵まれました。個人的に関心のある分野で、今後、団塊の世代が後期高齢者になると、在宅医療の必要性はますます高まります。在宅訪問では、あらかじめ家族の方と話をし、契約を交わした上で、個人宅や特別養護老人ホームの入所先に直接、薬を届けます。車で片道20分くらいかかる場所もありますが、寝たきりの患者さんのお宅では、「こんにちは」と大きな声で呼びかけながら上がり、体調と様子を伺って、薬をお薬カレンダーなどにセットします。医師や看護師、介護士、ケアマネジャーなど、医療スタッフとの連携が重要で、カンファレンスに参加することもあります。この店舗では、ローテーション研修の受け入れが初めてだったため、次に来る後輩にスムーズに引き継げるよう、在宅に関するマニュアルづくりも手掛けました。仕事のやりがいを強く実感したのは、４店舗目の小児科です。インフルエンザシーズンで忙しかったのですが、お子さんが薬を飲みやすくなるよう、お母さんにひと言アドバイスを伝えるなど、店頭でのやりとりに手応えを感じました。

５店舗目に赴任した富山で、大型スーパー内の一般薬を販売するドラッグストアに併設された薬局に本配属となりました。周辺の総合病院やクリニックから持ち込まれる処方箋を扱う面分業薬局で、患者さんが買い物をしている合間に調剤します。2,000品目ほどの薬剤を常備しており、1日／120枚程度の処方箋を処理するため、効率よく進める工夫が求められます。

その後、同じ富山で管理薬剤師の業務に携わり、店長として薬剤の管理、不足薬の発注、メーカーの変更など、薬局全体の運営を担いました。医師や製薬会社のMR等、関わる人が増え、必要書類に関する知識、事務職との連携など、店舗責任者として薬局経営のスキルとノウハウを学ぶことができたのは、自分自身の成長にとってプラスになっています。

店舗の管理薬剤師業務と並行して、新規店舗の立ち上げも手伝いました。近隣の総合病院から院内処方を外に出したいとの依頼を受け、病院前の敷地が空いていたため、更地の状態から店舗の間取り、薬剤の配置まで含めて一から店舗づくりに取り組んだのですが、社長や部長をはじめ、みんなで一丸となってプロジェクトを進める経験はやりがいがあり、経営に関心がある自分にとってはとても勉強になりました。今は新店舗の運営も落ち着き、次に自分がここを離れる時の引き継ぎを考え、店内設計を見直し、誰でも使えるよう棚の高さや薬剤の配置を調整しているところです。

こうした店舗運営や新規店舗の立ち上げが経験できるのは、ウィーズならでは。若くてもいろいろなことに挑戦させてくれる会社です。今後は複数の薬剤師で店舗を廻すノウハウを身につけ、営業活動や新規店舗開発についても、もっと深く関わってみたいと思っています。